*マーブルキャニオンはペイジの南西 リーズ・フェリー (Lees Ferry) からグランドキャニオン入り口までの渓谷
一方この度ご紹介する半日ラフティングは、誰にでも簡単に楽しめるスムースウォター・ラフティング (Smoothwater Rafting) 、急流の無い緩やかな流れをのんびりと往復するコースで、グレンキャニオン・ダム (Glen Canyon Dam) の真下から出発します。
コロラド川・スムースウォーター・ラフティング |
ゲートシティーはアリゾナ州ペイジ (Page)。このダム建設に従事した労働者達がその礎を築きましたが、現在は西部観光名所を結ぶハイウェー上の要所の町となっています。
送迎バス |
ラフティング・ドック |
バス発車後市内を西へ10分程走り、真っ暗なグレンキャニオン・ダム・アクセス・トンネル (Glen Canyon Dam Access Tunnel) の中を約3km下るとダムの真下にあるラフティング・ドック (船着き場) に到着します。下車したらダムの安全規則によりヘルメットを着用、ボートまで鉄製の桟橋を更に徒歩で下っていきます。ヘルメットを返却しいよいよボートに乗り込みますが、ここに救命胴衣が用意されています。着用は特に義務付けられておらず各自の判断に任されています。ボートが極端に揺れるほどの急流はなく、暑い日や写真撮影の際にはかえって邪魔になるかもしれません。ボートはゴム製で15名は楽に乗る事ができる大きさ、後方にエンジンと操縦席があり、パイロット (操舵士/ガイド) が手を取り乗船を助けてくれます。
ラフティング・ボート |
コロラド川をせき止めるこのダムの建設によってできたパウエル湖 (Lake Powell) とその周辺一帯は、面積約5,075㎢の国立レクリエーションエリアとなっており全米有数の観光リゾートとなっています。川に沿ってできた人造湖の長さは約300km、東京・名古屋間の距離に相当し、迷路のような湖岸線は多くの入り江を生み出しその全長は約3,200kmにも及びます。
ダムにはビジターセンターが隣接されており、ジオラマをはじめ湖に面したガラス越しに巨大なダムを見下ろすことができます。
*グランドキャニオン国立公園 (Grand Canyon National Park) を挟んで下流に位置するフーバー・ダム (Hoover Dam) は、1936年完成で高221m・長さ (幅) 379m、総出力2,080メガワット、ニューディール政策の一環で建設された
*フーバー・ダムによってできたミード湖 (Lake Mead)は全米最大の人造湖
グレンキャニオン・ダム |
ナバホ砂岩の壁面にはデザート・バーニッシュ (Desert Varnish) と呼ばれる焦げ茶色の部分がいたるところに見られますが、これは酸化マグネシウムとバクテリアの作用による変色です。のんびりと水鳥を眺めながら進むと、川面の所々にはマスを釣る人々の小舟が浮かんでいます。
パイロット/ガイド |
しばらくボートを下流に進めると上陸地点、ここには古代先住民のペトログリフ (壁画・Petroglyphs) が砂岩の壁面に残されています。まず砂浜にボートを着け少し登ると公衆トイレが4基、更に小道を奥へ歩くと岩壁に刻まれたペトログリフが右手に保存されています。
長い歴史の中で異なる先住民が刻んだその意匠は時代によって異なります。
ペトログリフ |
コロラド川が大きく馬蹄形にカーブしている名所で、絶壁の上から俯瞰した景色はとても有名ですが、逆にボートで「くにゃっと」馬蹄形にカーブを切り川面から絶壁を見上げるのがこのコースのハイライトの一つなのです。
1869年、南北戦争で右腕を失った元軍人で地質学者のジョン・ウェスリー・パウエル (John Wesley Powell) が10名の隊員と4隻の木製手漕ぎボートでこの川の周辺を探検した時と変わらぬ光景が広がっています。
*J.W. パウエルは2年後の1871年に第二次探検隊を組織し、再度コロラド川に挑戦している
そしてボートはここでUターン、上流に向って速度を上げラフティング・ドックまで戻ります。
*そのまま更にリーズ・フェリー (Lees Ferry) まで下り終了するコースもある
このコロラド川水系は、ネバダ州のラスベガス、カリフォルニア州南部のロサンゼルスやサンディエゴ、アリゾナ州のフェニックスやツーソンなどの大都市を含む西部7州 約4,000万人に生活用水を提供しており、また西海岸南部農産地帯をささえる農業用水としても大切な水源です。
かつて、20世紀初頭までは河口一帯は緑豊かな自然の宝庫でした。ところがフーバー・ダム (Hoover Dam) とそれに続くグレンキャニオン・ダム (Glen Canyon Dam) の完成により、大量の電力が確保できた反面カリフォルニア湾に注ぐ水量が激減、さらに近年の水の過剰消費と干ばつの影響により、もはやコロラド川の雄大な流れは海までは届かなくなってしまいました。
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