このあたり一帯は太古の地殻の変動と氷河期の周期により、内海の海底に沈んだり、陸地に隆起したり、淡水湖の湖底になったりと様々に変化しながら土砂が堆積し地層が形成されていきました。ここブライスキャニオン国立公園 (Bryce Canyon National Park) に見られる地層は、ザイオン国立公園 (Zion National Park) の最上部のカーメル石灰層よりも新しいクラロン層 (Claron Formation)という鉄分を多く含む石灰と砂の石化層がほとんどです。その鉄分が酸化することによりピンク色に見える訳です。
クラロン層は約4,000〜5,000万年前に巨大な湖の底に堆積したものと考えられています。上部の地層が浸食され、むき出しになったクラロン層に雨や雪解け水などの水分がしみ込んでいきますが、水がはけた後のこの層は圧力が一気に抜けてスカスカで非常にもろくなっています。もろいゆえに浸食に弱く、実際に現在の奇妙な地形になるまでに200万年もかかっていないそうです。
ブライスキャニオン国立公園 |
ちなみに、コロラド高原はアリゾナ・ユタ・コロラド・ニューメキシコの四州にまたがる面積337,000㎢ほどの大平原で、日本よりやや小さいといったサイズです。
ちょうどブライスキャニオンの上部はポーンソーガント台地 (Paunsaugunt Plateau) と呼ばれており、その東側にあるピンククリフス (Pink Cliffs)という断層面の一部にブライスキャニオン国立公園内の尖塔群が見られ、これがグランド・ステアケースの上から一段目。順に下って二段目の断層はグレークリフス (Gray Cliffs) 、三段目がホワイトクリフス (White Cliffs) でザイオン国立公園ではこのふたつの断層面が見られます。さらに下って四段目がバーミリオンクリフス (Vermillion Cliffs) であのバーミリオンクリフス国立モニュメントがあり、その下が五段目のチョコレートクリフス (Chocolate Cliffs) でこれが階段の一番下となります。そのまま南下するとカイバブ台地 (Kaibab Plateau) がやや盛り上がりグランドキャニオンへと続きます。(下図参照)
グランド・ステアケース断面 by National Park Service |
雨水や雪解け水が岩の割れ目に入り込み、凍結することで120%も膨張します。これにより弱い部分の岩が剥がれ落ちる現象がこの奇岩を生む一番の原因とされています。
フードゥーには実に様々な形状が見られ、中には60mほどの高さに達するものもあります。
フードゥー |
*西側のリムが夕陽をさえぎるので、夕景を楽しむには日没の1時間以上前にスタンバイすること
面積は145㎢と小ぶりですが、全米の国立公園の中で最も暗い夜空を望めるブライスキャニオンは、1928年の国立公園認定以前から天然のプラネタリュームと言われてきました。
もう一つ、パイユーテ族の「星にまつわる」伝説をご紹介しましょう。日本では昴 (すばる)と呼ばれているプレアデス星団 (Pleiades) の7つの星は、父親の言い付けに背いたパイユーテの7人姉妹が天空から降りられなくなった・・・というもの。ギリシャ神話のアトラスの7人姉妹のお話しとよく似ています。ちなみに、このプレアデス星団は牡牛座の中にありますのですぐに見つかります。月あかりの無い夜は、ぜひ渓谷のリムから満天の星空をお楽しみください。
なるほど!
返信削除真ん中の図は米国National Park Serviceによるものですね。WIKIMEDIA COMMONS を見ますとこの図は一見public domain にあって著作権は無いように思われがちですが、Permission の説明をよくお読みください。このpublic domainは米国のものであって、日本で使用する場合は著作権が発生します。何か特別な方法で著作権使用許諾を得ているようでしたら別ですが、そうでなければ著作権侵害となり、米国の法律で罰せられることになります。至急の削除をお勧めします。
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